鶏・キジの種卵について

卵の孵化について、爬虫類・両生類等は記載されている事が多いのですが、鳥、特に家禽については、意外に記載されている所が少なく、皆さん意外と頭を抱えておられている様な気がしております。
無論、私もそうでした。
出来る限り、記載して行きますので、ご参考頂けますと幸いです。
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孵卵について、一般的には孵卵器を購入して孵化させる方が殆どだと思います。
ただ、孵卵器は高い!
だからと言って、スチロールBOXなどを使用し温湿度を一定に管理して、1~2時間に1度転卵(最低でも1日2回)させる事を約3週間続けるのはとても大変で、ほぼ不可能な方の方が多いでしょう。
一家に一台と言う物ではない機器の為、機器自体の生産数が少なく高くなるのは仕方が有りません。

昭和孵卵器…恐ろしいほど高い。しかし性能は恐ろしいほど良い。しかし木製。それが湿度の安定にとって一番良いかもしれないとしても現代の美的感覚には合って居ない。ほぼ独占事業なので、品質改良がほぼ止まっている模様。

RCOM…まだ高いですが性能もまず問題は無い。この程度だと何とか頑張れば手の出る範囲かと。湿度を調整する水は蒸留水。(水道水では炭酸カルシウムが付着し壊れるとのこと)

その他中国製…価格はリーズナブルだが、初期設定が有っていない。洗うのが大変。突然暴走する。良い物と悪い物の当たり外れが大きい。温度が安定しない。湿度が低くなるのが早い。壊れやすい。錆びる。
など機種により何らかの不具合は必ずあるが、当たりを引いた上、こまめに管理できる方なら長期使用でも全く使用に問題ないことも有る。

と言う様に、中々ハードルは高いです。

海外製は日本語の説明書が無い事が多いのですが、温度などを調整する項目だけでもきっちり翻訳すれば、短期間なら十分使えます。(不良品は有りますが、対応してくれる場合も有ります)
ただ、初期設定がほぼ狂って居ますので必ず補正が必要です。
どの孵卵器も出来るだけ説明書は読んで下さい。
あらかじめアナログの棒温度計などを数個入れて、1~2日程度設定温度になるか確かめてからの入卵が理想です。
湿度による温度変化も有りますので、多少時間は掛かります。

後、厄介なのが、設置する場所の温度が決められている事です。
最近はペット飼育の為、常時エアコン等で快適温度にしている部屋が有る方もおられるかと思います。
そう言った環境をお持ちでない方は、孵化させている期間だけでも、室温を一定にさせる必要が有ります。

≪保管方法≫
とがった方を下にします。
丸い方には空気の入った「気室」があり、こちらが上だと黄身が殻に接触せず安定して鮮度を保つことができます。
孵卵時についても、卵を立てて設定する孵卵器の場合は、反対だとまず孵化しません。

孵化用種卵の保管についても、一般家庭では難しく、14~18度位が適切かと思われます。
一度冷蔵庫に入れた卵は孵化しないと言われています。
(半日ほどだと大丈夫かと思われます。それよりも急激な温度変化や低温・高温にさらされる方が問題)
なので夏場の翌々日到着地域は、チルド便の選択の方が良いかもしれません。
翌日午後などでしたら、すぐに孵卵器に入れれば、一旦温度が上がってもさほど問題無いかと思います。(初期の温度設定は緻密でない為)

下記の記載 ≪食品としての卵についての間違った解釈≫ でも記載して居ますが、18度以上での保管は劣化が早い
ですが、個人売買では仕方が無い事で、常温保存されている方が多いかと思います。
適切な温湿度で保管出来ない方は、発送の場合到着時間等も有りますので、採卵日から3~5日までが目安です。
他の食品の保管方法に有る様に、冷暗所で保管すると良いかと思います。(さらに重要なのが湿度)
きっちり保管していても1週間が限界で、10日経つと、ぐんと孵化率は落ちます。
多少産まれるのは産まれますが、個人売買で無精卵だ!と言うクレームが多い1番の原因は、この保管状態の悪さに有ると思います。
試しに、20日前後「16度保管」した卵を孵化させて見ました。
4個中1個程度は孵るんですよね。
なので、何でもかんでも発送する方が多いのだと思います。
本人以外は裏付けを取れないので、平気で良くない卵を送るんでしょう。
(これについては追って、個人売買や、やっつけ商売(サプリや健康食品等)による詐欺が無くならない理由?で追記します)
更に、猛暑や寒冷期に採卵した種卵は、リスクが高いです。
輸送時の温度変化や衝撃、運送にも適していません。
無論、「お正月に孵したいんだ!」と言う方も居らっしゃると思いますので、購入側が納得した上でご購入下さい。

湿度状態が悪いと、気室が大きくなるのが早いです。
老舗の和歌山の販売サイトでは、必ず採卵日を記載する事となっています(嘘を書くと結局同じなのですが)
卵の数を揃える為には、飼育頭数が必要になります。
販売者側にしろ購入者側にしろ、理解されている方は多いかと思われますが、まれに「有精卵は全て発生する!」と思っている方も少なからず居ますので「無精卵だ!」と言うクレームが多いのだと思います。
発生しないと、私もそう言う気分にはなりますが原因が大事です。
その為、個人売買サイトでの購入については、5個中1~2個孵ればよいと言う位の感覚でないと不満が出ると思います。(半分孵化すれば御の字)
たまに運良く全部孵ったりするので、人はそちらを基準に考えてしまうんですよね。

鶏は家畜として沢山卵を産むように改良されてしまって居る為、生殖能力自体は落ちてしまって居ます。
キジ類は一部を除いて(鶉等)繁殖期がある個体には、温湿度が安定して居れば、1ヶ月近くの卵でも維持出来るかと思われます。
それは、私自身経験したこともあいまり「草刈りをしていたら自然界で抱卵していた日本キジのメスをはじいてしまった」と、ヘルプが届いた事に有ります。
外出していた為、一度は温度が室温まで下がってしまったものの、14個全ての卵が孵化まで3日で、8個は孵りました。
毎日産まないキジで14個は驚きましたし全て孵化寸前でした。
自然界の生き物は、現代の人間の技術をも上回ります。
うちの烏骨鶏についても、抱卵させた個体はほぼ孵ります。
巣を作る場所の湿度温度が適正に保たれているのだと思います。

孵卵器の説明書に、検卵時はなるべく早く!とか、温度変化が有ってはいけない!等の記載が在りますが、自然界の事を考えて下さい。
鶏は、21日抱卵します。
雌親がその間餌や水を飲まないと、死んでしまいます。
昔頻繁に行われていた強制換羽でも2週間が限界なので、21日では確実に死にます。
他の動物では有る事ですが、鶏の雄は雌の為に餌を運ぶことはしません。
なので、雌は餌を食べる際には温めないのです。
温度の急変が無ければ検卵時はそんなに慌てる事は有りません。
急激な温度変化は良くないですが、置く際に焦って「コツっ」と床に当てる方が怖いです。

キジや鶴・シギ等の水鳥などを沢山飼育されておられる方からお話を聞きました。
その方は、1日に1度、1時間かけて20度位までクーリングすると言う事でした。
その行為を行って、きっちりと孵化されているんです。(クーリング無しより多く)
 ※クーリング 温度をゆっくり時間をかけて下げ、またゆっくり元の温度に戻すこと。

うちでは、保管に幾つかのワインセラーを使用しております。
10~18度位までの設定と湿度管理が出来、標高の高い所に住む昆虫等の飼育にも使用されている、生き物飼育には一般的に流用されている機器です。
しかし、これも安い物だと、ヒーターが付いていなかったり、室温の規定が有ったりします。
意外と、個人売買サイトやリサイクルショップで数千円で手に入ることが有ります。

販売サイトでは、ピカピカの種卵ばかり送られてきますが、本来多少砂やフンの類が付いたままの方が安心できます。
無論、採卵装置を付けている採卵部屋ではほぼ汚れた卵は有りませんが、食に関する分野において「鶏の卵を割る際、ボールに落とすだけで味が変わるので、滑らすようにした方が良い」と言われています。
「コン。と当てただけで卵は死ぬ」とも言われています。
採卵装置では多少なりとも衝撃が加わります。
それだけ「種卵」と言う物は、繊細なのです。

自然界の事を考えると、少し言い過ぎだとは思いますが。
しかし、ペットとしては、多少汚れていても食品ではないので何ら問題ないと思います。
色々試して見ました。
簡単な乾拭き。孵卵前に水拭き。水洗い。食用次亜塩素酸(一般の卵に使用されている)にて殺菌。汚れた卵のまま。
乾拭きは問題有りませんが、洗った物や殺菌した物は孵化率は極端に下がります。
汚れた卵は孵化率はほぼ変わりませんが、保菌してないとしても気持ちが良い物では有りません。

私が食用として販売している洗浄済みの卵でも、ほぼ産まれないはずなのに、半数弱程も発生させる方が居る様です。
それは、その方の孵卵技術が高いのだと思います。
自分の技術レベルを、他人のせいにする事が多いのも確かです。
足の指曲がりは、血が濃くなりすぎると起こる事が有りますが、ほぼ最終2日の湿度管理が主な原因です。
ここが、生命の難しさだと思います。

無論届いた時に汚れていると「汚い」と言う印象が出てきますが、過剰梱包と同じで、べったり糞が付いている等でない限りその方が安心出来ると思います。
糞がついているとサルモネラ菌の心配も出ますが、サルモネラ菌はどこの土にも生息しているので、過剰に繁殖しない以上、普段から人も摂取しているレベルなんですよね。
しかし一旦親鳥の体内に保菌してしまうと、卵にも菌が出るそうです。
ですが、流石にそんな不潔な環境で飼育されている方はまず居ないと思います。
たまたま糞まみれになってしまった種卵を生食しても問題無い事から、無論「ない方が良い」「気持ち悪いから」と言うレベルに過ぎないと思います。
ですので、本来種卵購入者側は、多少の汚れが有っても拭かないままの方が良いはずなのです。

一般的にはペットとして飼育されている方だと思いますので、そこまで過剰に考える必要はないと思います。
多少の汚れでも気になる方は、汚れていた場合「孵卵器に入れる直前に拭く」のが理想だと思います。
洗ったりした地点で、クチクラ層(卵を保護する膜)が破壊されます。
(昆虫などで言うと、親がカビ無い様に未だ解明されていない保護膜を作るので、孵化するまでに触るとカビやすくなる等、生き物の神秘です)

やはり採卵は「産卵箱」の設置が一番良いと思います。
中型種以下でしたら、「リンゴ箱」が手に入れば楽です。
「産卵箱」を設置しても、屋根に産んだり地べたに産んだり様々ですが、朝夕(出来れば3回)採卵することがベストです。

家禽をペットとして飼育する限りは、やはり羽が綺麗である事が重要かと思います。
しかし、その為にはオスが1羽のペアリングとなると思います。

一般的に、既に飼育している家禽からの孵化は頻繁にされないと思われます。
頻繁に孵化させていると解るのですが、適温時でも同じ環境下に置いて、何故か突然10日程の期間だけ全く発生しなくなったりする事が有ります。
気候や、体調、気圧の変化、雷(雷は2個玉が出やすい)地震等、親種への影響はどう言った環境であっても色々有ると思います。
2個玉は大抵片方の生育が止まるので、片方が正常でも孵化に居たる事が難しい様です。

特に鳥に関しては、気圧の変化がよく取り上げられます。
その不思議な期間は、有精卵であっても発生しない何らかの不具合が起こります。
ですので、喧嘩しない様に相性を見た上、なるべくオスは2羽以上あてることが大事です。
どんな生き物でもそうなのですが、繁殖には生殖能力が一番重要で、その能力は365日では有りません。
自然界では完全に夫婦で生活する様な生物でも、飼育下に置いてはグループ飼育が可能な種も居ます。
その場合は、必ずグループ飼育する方が繁殖効率は上がります。

あ、ここでふと全く関係ない雑学をしたくなりましたので、記載します。
一般常識と真実の話です。

「オシドリ夫婦」
と言う言葉が有ります。
「夫婦仲良くいつも寄り添っている~」と言う事を表現する言葉です。
「とっても良い夫婦~」「理想的な夫婦~」ですよね。

真実は。
「メスは、自分が決めた旦那オスの事は知らんぷりで、すぐ他のオスと交尾をするので、旦那オスは他のオスを追い払う為にずっとメスの後ろにストーカーのごとく付きまとっている」のです。
無論オシドリは動物なので、オスはメスを見ると襲いますし、メスは襲われると受け入れます。
それが動物の繁殖です。
ですが「オシドリ夫婦の意味」全然違いません?
人間界の現実も、男性が女性をかまわないとそうなると言うならそうなのですが…男の扱い可哀そうすぎません?
そう思うのは男だからでしょうか?
更には次の年には別のペアになっているのですよね…

元に戻ります。

発生しないと無精卵だ!と思っている方も居ますが、有精卵でも管理や衝撃による死亡、タイミングなどによって発生しない事は多々有ります。
保管もそうですが、輸送などは暑い時期や寒い時期は異常な温度にさらされます。
夏場の配送トラックの温度は40度を超えます。
冬場は10度以下にさらされます。
それが長い時間だと、卵自体が死んでしまうのは当たり前の事なんですよね。
猛暑の時期、翌午前に到着しない場合は、チルド便の方がまだましです。
寒い時期は、費用は別途掛かりますが(¥300円位?)スチロールにカイロ(空気穴必須)で、-10度でも+10度程度に維持することは可能です。(カイロの特性により30時間程度が限界)

私自身も、購入した卵が10個程度中1つも発生しなかったことが何度も有ります。
少し質問をし、回答を頂きましたが、結果としていずれも「保管状態」だろうという結論でした。
管理を聞くと、20度程度できっちり管理しています!とか、10日以内の卵しか送りません!とか少し認識が甘いです。
正直に言って頂けるだけ悪気はないと思うのですが。
認識が甘い方や、売れればそれでいいという感覚の方にはどのみち何を言っても無駄なので、勉強になったと思うしか有りません。
あえて言うなら「絶対儲かります!」の詐欺と同じで「孵化率良いです!」を過剰に売りにした方の卵はあまり孵化しない気がします。(笑)
質問側でも「孵化率良いですか?」と言うのを目にしますが、出品している以上、返答に「悪いです!」っていう人なんて居ますかね??質問自体が愚問ですが。
交尾の画像が掲載されている事も有りますが、雄の精子が雌の体内で生きられるのは、3日程度と言われていますので、はっきり言って何の意味も有りません。
安心させる為だけの詐欺紛いの事案で、生殖不能雄かもしれませんし、その交尾から3日以内でないと何の意味もないのですから。
おっと…少し辛口過ぎました。。。

≪食品としての卵についての間違った解釈≫
卵の賞味期限は、生で食べられる期限です。
食中毒を防ぐために大切なのは温度管理です。
37度の環境にタマゴを1日置いておくと、生食では危険な状態になりますが、10度以下で保管した場合、理論的には産卵から57日間生で食べることができます。(研究結果で証明されています)
卵の賞味期限は「安心して生食できる」期間です。
期限を過ぎた卵は加熱調理(70度1分以上、他の食材と混じる場合は75度1分以上)です。(サルモネラ菌が死滅する)
但し保存(常温保存等)の状態によっては腐敗を確認し、廃棄した方が安心です。(腐るとどんな物でも食べられない)

一般に流通している卵は、輸送時や店頭販売時には温度管理されておりません。
更に殺菌洗浄されています。
なので、賞味期限が短いのです。

卵の食中毒は年間0.00003%で少ないです!と言って居ますが、卵の消費が多いので本来は意外と多く。
1,000~1500件、患者数は2~4万人程度の食中毒の届出があります。
※参照※
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/survei/pdf/egg_shido2.pdf

今のこの記載では、全てを繋げて考えないと難しいかもしれませんので、時間が出来た時数個のトピックに分けて記載しようかとも思っています。
よろしければ、ご意見お待ちしております。

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